東日本大震災を被災したダブルシートの補修。(再掲載)

今日は3月11日です。

あの日から8年経ちました。

早いですね。

私も皆さんも思う所や感じたことホントに沢山色々あるのと思うのですが、私はこのシートを手に取った時の重さと臭いが忘れられない。

ということで、

2012年5月23日のエントリーを再掲載します。

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今まで随分と沢山のシートを売ってきました。

『距離を走ったから』 とか 『レザーが何かの拍子に裂けてしまったから』 や、 『イメージを変えたい!』  『中古でシートを手に入れた!』 なんて理由は個々様々なのですが、以前に比べてレザーの張替え依頼が増えてるんですね。

大体、スポンジをそのまま活かしてレザーの張替えのみです。

スポンジが経たって腰が無くなるほど乗るのは大変です。

今まで何度も10万キロ走ったというシートの張替えしましたが、スポンジの弾性は問題無く、硬化したレザーのシワでサイドのスポンジが少し削られた程度でした。

オーナーに馴染みきったスポンジですから、オーナーと相談し、削れた部分をペーパーで均して新規のレザーで張り直して納めました。

ゴムの足もフェンダーやらフレームに当たり馴染んでいましたが、硬化が少しあったのでそれだけは新しくしましたね。

ということで、

今回、この ツーリングファミリー用ダブルシート を張替えます。

でもね。

今まで請け負ってきた物と事情がちょっと異なるんです。

先の震災を、気仙沼で被災した方からの依頼なのです。

震災についてはさて置いて、問題は、海水を含んでいると言う所・・・。

張替えのシートと共に、印刷されたこの写真が同梱されていました。

オーナーの方に相談し、このブログで掲載の許可をいただきました。

だから自分が何でどうこうと言う話ではありませんが、こういう事があったのだという証になるかと思い掲載させてもらう事にしました。

人それぞれ思う事あるでしょうが、興味本位でも良いと思います。

画像大き目で上げてあるので是非見てみて下さい。

手前の水路にハンドルだけ出ているのがシャベルのFLHで、横たわっているFLHXの方は、同じように水路に水没していたのを引き上げたそうです。

普段あれだけ重い重い言って取り回しているハーレーのツアラーが、こうやって流されてしまうんだからすごい力だったんでしょう。

以下オーナーの弁です。

『昨年の津波で家と家族とバイクと全てを失いましたが、流されたHDを見つけ、いつかまた乗ろうとシートだけ外しておきました。

結構シートは破れてますがアンコや台座は大丈夫です。

しかしアンコが水を吸ってますので乾燥しているかどうか、又泥が奥の方まで入り込んでいると思います。

そのまま使用してよいのか判断がつきません。

今月またFLHXを新車で購入しました。

ストレスだらけですが、バイカーはやっぱりバイクで解消しないと身がもちません。』

今回張替えの依頼を受けましたが、被災した方からだということで特別な事は致しません。

心情的な部分はありますが、いつも通りの作業です。

料金も通常通りいただきました。

しかし、自分が思った所で何も変わらないのですが、またバイクに乗ってというのは正直嬉しく勇気を貰えた気がします。

同時に、自分達のシートがそこに介在しているのを誇りに思ったりもしました。

これがそのシートの表側です。

レザーが破れてしまっていますね。

いただいた写真ではレザーがあるように見えるので、オーナー自ら中を確認したのでしょうか。

こういうのを土気色と言うんでしょうか。

通常、スポンジに浸水したとしてもこういう色にはなりません。

やはり、海水の仕業なのでしょうかね。

そして、兎に角重い。

表面こそ乾いていますが、内部の水分が抜けていない証拠です。

店に置いてあった試乗用のシート。

勿論、同じダブルシートです。

大体 4キロ弱か。

今回のシート。

7キロ強。

3キロちょいの水分 (海水) が含まれているってことでしょう。

先ずは、レザーを剥がします。

レザーは、糊とネジ併用でシートベースに固定してあります。

ネジは回せば外れますが、糊の除去は結構しんどい作業です。

ちなみに、これは同時期レザーのみの張替え作業していた別のシートです。

綺麗に糊を剥がさないと、張替えの際に糊の上塗りになってしまいきれいに仕上げる事が出来ません。

裏側だろうが張替えだろうが手抜きなんかしませんよ。

レザーを剥がしさえすれば吸い込んだ水分を抜くことも出来ますが、抜いた後に残るかもしれない塩分が、どんな悪さをするか分からない。

距離を走りスポンジも馴染んでいたというお話でしたが、結局スポンジまで交換させてもらいました。

新規に縫い上げたレザーを用います。

レザーの張替え完了。

シートベースは、ポリッシャーを使い簡単に磨いてあります。

これは、新品でも同じ製作工程ですね。

深い傷は消せませんが、それなりに綺麗になります。

新品とはまた違った風合いです。

前後の取り付けステーも再研磨します。

外刃ワッシャーを入れ、ボルトにロック剤を塗布してから取り付けます。

ここらのショートパーツは、全て新品に交換します。

最後は手締めで外刃が潰れればOK。

純正シートボルトの刃付きワッシャーの痕だけ残っていますね。

タンデムベルトも新規に用意です。

一番上の画像からここまでになりました。

シートベースの少しの隙間からスポンジまで交換したのが見て取れます。

本日出荷しております。

またこのシートで沢山走ってご自身の身体に馴染ませて下さい。

有難う御座いました。