Before 1975
プライベーター時代の 秋元 紀一(アキモト キイチ) と 中山 博(ナカヤマ ヒロシ)若き日の両名。この頃は中山の自宅をそのまま作業場にしていた。
1970's
工房から目と鼻の先の旧グラントハイツ(現光が丘)にて、馴染みの客と。写真中の全ての車輌に手が加えられている。グラントハイツは、戦時中日本陸軍成増飛行場があった場所で、戦後の1948年米国陸軍の家族住宅として完成した。その後1973年になり日本に全面返還された。写真の時代は既に日本へ全面返還されているが、まだグラントハイツ時代の名残が見て取れる。そんな土地柄のせいか、当時からモーターサイクルへの情熱を持った変わり者が大勢いた場所であった。
1975
プライベーターとして製作したKawasaki「Z750RS」 がオートバイ誌の表紙を飾る。
プライベーターとしては異例であった。
1976
同年、秋元と中山 両名の名をとった 『紀一と博F.R.P.研究所』 という名称で創業を開始する。中山が代表としてその実務を請け負う形となり、秋元は一線を退き中山の良き相談役となる。当初は、プライベーター時代からの流れで 「カフェレーサー」製作の依頼を受けてはワンオフ製作していた。この時代、モーターサイクルパーツをF.R.P.(強化グラスファイバー)で製作しているところはまだ少なく、カスタムバイク製作の草分け的存在となる。時代は正にカスタムバイクの創世記であった。
初めて量産体制をとったのは、「Honda CB400 Four」用テールカウル付きのシングルシートであった。当時シングルシートの定価は30,000円、車輌価格が327,000円。時の大卒初任給は90,576円であった。このシートは、数度の再販をするも現在は絶版となり、当時、高額だったために手に入れられなかったユーザー、当時も装着していたという リターンライダーからの問合せが、今現在でも後を絶たない。キャストホイール、集合マフラー、紀一と博のシングルシートは、ヨンフォアの 「3種の神器 」と呼ばれていた。
当時のレジャーブームとも重なりヒットしたYamaha GT50通称 「 ミニトレ 」。
一体式タンクシートは、同年発表のCB400Four用シートに負けず劣らずの人気商品となった。
1978
Kawasaki Z750RS通称 「ZII(ゼッツー)」 用のフルセットは、曲線と面で構成された作品であり、当時 「10年早いデザイン」 と世間を言わしめた。
モンキー他の小排気量用タンク・シートも人気を博した。
今なお人気の衰えないYAMAHAの名車「SR400/500」が発売された年(注:500は現在絶版)。
写真はSRカスタム中の初期の作品。シートは「S-001フロントフェンダー」、「F-001リアフェンダー」、「R-001サイドカバー」、「SC-001」。
今も受け継がれる量産品に付けられる通し品番の始まりであった。
1981
Honda「CB250RS」用のシングルシートは、カフェレーサー全盛のこの時代を象徴するデザインであった。
1980's
1982
‘81発売の80年代を代表するクォーター YAMAHA「RZ250」。
シートの表皮は、バックスキン風レザーを使用していた。この頃シングルシートはカフェレーサーの象徴だった。
1983
RCレーサーフルレプリカ仕様のHonda「CB125JX」。
当時FRP研究所を略し「F研 ( エフケン )」 などとも呼ばれていた。
1984
フランスで開催された「Paris Show」に日本人としてはじめての個人出展をする。グリーンの外装でカフェレーサーに仕上げたYAMAHA「SR500」。この外装品は、現在でも朝霞ショールームに展示されている。
当時、日曜日はガソリンスタンドも定休だったため、1回の給油で長い距離を走る必要があった。
そこで生まれたロングタンク、パールカラーのYAMAHA「RX 250」。
黒と赤で仕上げたSUZUKI「カタナ」や、前年製作「RC」レーサーレプリカ仕様Honda「CB125JX」を出品し、フランスでも『紀一と博 F.R.P.研究所』 の技術と品質の高さが評価された。
1985
モーターサイクルショーにHonda「CB 50」、「CS90」他数台を出品。
「CB 50」は、ノーマルフレームでタンク、シート、足廻り、ブレーキを変更し、シリンダーヘッドをツインカム風にしていた。
1986
創業10周年。
[KHR-86]とネーミングしたモンキーのエンジンを使った完全オリジナルレーサー。
フレームから外装全てを製作し、実際にレースにも参戦していた。
リアはツーリーディングのドラムブレーキ、フロントは大型ドラム風ハブを持つ、ワンオフディスクブレーキとした。
1987
『紀一と博 F.R.P.研究所』から、
『株式会社 ケイアンドエイチ』へと社名を変更する。
1994
YAHAHA「SR」のトライアンフレプリカを製作する。世は空前のシングル (英車) ブームであった。シートはもちろんオリジナルであったが、ガソリンタンクは金型を起こし製作したスチール製で、国内のオートバイメーカーの基準に合わせて作るという大々的な物であった。
それに伴いステンレス製のフェンダーやニーグリップラバー、真鍮製オイルタンクキャップやカムテンショナーキャップと、グラスファイバーの外装品以外にもラインアップを拡大していく。
1990's
1996
創業20周年。
この頃から人気が上昇したBIG スクーターに対し、機能性重視のアイディアパーツ 「URBAN GEARシリーズ」 を発表。
前後移動式キャリアやFRP製BOX 、ハンドル中央に取り付けるポケットと呼ばれる小物入れが主力商品だった。
1998
現開発主任の上山 力(ウエヤマ チカラ)を中心にした若手スタッフにより、K&Hから新しいブランド「eggs」 が生まれた。
eggs のブランド商品は、車種構成を広げ若年層ユーザーを中心に支持され、オートバイ以外の一般紙等でも紹介された。
世は英車ブームからトラッカーブームへと移行して行く。
2000
インジェクションスポンジ使用のシートを開発するため、社内に大型機械を導入する。
当初は、シートベースとスポンジを別体構造にして製作していた。
レザーの縫製設備も整え、製品全てを自社内製作することが出来るようになる。
インジェクションスポンジを使用した第1作目はYAMAHA SR用ナローシートであった。
2000's
2001
タンクに25の数字とK&Hの文字が入る、創業25周年を記念して製作したSR400。
そして、同年 「OK」 シートを発表する。OKシートは、スポンジを型の中で発砲させるインジェクション製法を採用し、さらにシートベース一体成型したモーターサイクル用シートである。
研究に一年半以上の時間を費やしたが、この製法が確立し、シートメーカーとしての一歩を踏み出す形となった。
2002
HARLEY-DAVIDSON用シートを発売開始する。
「走らせて楽しい」 をテーマにラインアップを広げていく。
乗り心地の良さから話題となり、好評を博す。
2005
かねてからの目標であったBMW用シートの発売を開始する。
第一弾は「R1200RT」用であった。
今後は更なる車種展開を予定。
2006
創業30周年。
ショールーム&ファクトリーを埼玉県朝霞市へ移転する。工場の規模を大きくし、生産性向上を図る。
練馬は本社業務のみとなる。
2007
BMWの第二弾は「R1200GS」。
RTとは違った魅力があり、RTのシート開発をさらに発展した形での製作活動を始める。
シートの厚みによる製品展開や、リアシートの張替もラインアップする。
2010
HONDA CB1100の開発を始める。
数年の間、HARLEY BMW と海外車両の開発が続いていたが、久しぶりに魅力的な国産車にカスタムに出会い製作の意欲がわく。
シートの厚みがMID(ミディアム/中間)から製作を開始、続いてシート高の低いLOW(ロー)シートも発表。
2010's
2011
インジェクションに変わったSRのシートを発売開始。
SRとの付き合いは長く、K&Hを語る上で最も大切な車両と言っても過言ではない。
そのSRの開発を久しぶりに再開し、改めてSRの魅力にふれることになる。
5種類のレザーパターンのダブルシートを発表。
CB1100のHI(ハイ 高い)シートと段付きシートを発表。
昨年この車両を手がけて以来、その人気の高さに驚かされる。
限定商品のグラブバーもすぐに完売してしまう。
カワサキW800も普遍的な人気車両。
この車両を好きなオーナーさんは車両の持つ雰囲気を大事にしているのはもちろん、走りにもコダワリがあるということで、シート高の違う3種類のダブルシートを発表。
ステップの安定を図るヒールサポートなど、新しいパーツの開発も意欲的に行なう。
2013
BMW F650/F700/F800GS用ミディアムシートを発表。
ハーレー、国産バイクの開発に追われていたが、久しぶりにBMWの開発を手がける。
2013年からBMW R1200GSは空冷から水冷へと変わった。
F650/F700/F800に続き、水冷となったR1200GSの開発を着手。
BMWはハーレー、国産バイクとは全く違った面白みがある。
ただ、それだけではなく、BMW独特の難しさにも悪戦苦闘。
2013年10月27日 創業者 中山 博が取締役社長を辞任し、中山のもとで、20年間共に開発に携わってきた上山 力が、新社長として就任した。
この年、K&Hにとって新しい歴史の1ページが開かれた。
歴史を振り返る
開発に力を注いだHARLEY-DAVIDSONのラインナップは、K&Hのメインストリームとも言えるべき存在となる。
この年にはSoftail/FLS・FXS用ソロシートとキング&クイーンを発表。需要に応えるべく、対応シートを続々と生み出していく。
2014
Softail用シートはFXSBブレイクアウトの開発にも着手。
バッドボーイに続きソロシートも発売、さらに充実の品揃えとなる。
7月、CB1100EX/DLX用MIDダブルシートが完成。
11月にはシングルシートを発表、続いてダブルシートにもLOW・HIシートが加わる。
2015
11月、KTM DUKE 125/200/250/390用シングルシートを販売開始。
バイクは乗ることを楽しんでこそ!という原点に立ち返り、これまでの流れとは異なる新たなジャンルへのチャレンジ。