弊社製シートのスポンジは、型の中で発砲させるインジェクション製法にて形作らています。
このスポンジは、乗り心地の良さや長距離ツーリングでの快適性は言わずもがな、ライダーへタイヤや路面の状況、サスペンションの動きなど沢山の情報を伝えてくれます。
オートバイに乗せられるのではなくライダーが操ることを意識させてくれるシート。
それを実現するために必要なスポンジ製法なのです。
型の中で発泡させたスポンジは、型から取り出せばそのままシートと同形状に。
荷重を受けたスポンジは、単純な上下動だけではなくあらゆる方向に力を分散しながらライダーを受け止めようとします。
「板状のスポンジを重ね合わせた後に削って整形する。」
これは現在のアフターマーケット シート製作において主流な製法なのですが、この手法は、スポンジ同士に接着剤を多用し貼り合わせる為、縦横無尽に動こうとするスポンジを硬くなった接着剤が阻害してしまいます。
スポンジの動きに追従できない接着層が、スポンジ各層の動きを分断してしまうのです。
インジェクション成型されたスポンジは、シート全体シームレスな動きを実現します。
均一な仕上がりと美しさ、快適な乗り心地を両立しています。
シートは、ライダーと車体を結ぶ最大の接点なのです。
インジェクションスポンジは、2つの原液を”型”の中に注入し化学反応させて発泡させる製法です。
膨らみながら型の内壁に押し付けられ発砲するスポンジは、強い圧の掛かるスポンジ外周部の粒がキメ細かくなります。
表面の粒がとても細かく、人の肌のように見えることから「スキン層」とも呼ばれています。
そして、シート中央部に向かうにつれて圧は弱くなるため、粒は少しずつ大きくなっていきます。
大小粒の大きさ違いのスポンジにより、コシと柔らかさという一見矛盾するオートバイ用シートに必要不可欠な要素を実現しているのです。
これがK&H製シートが優れていると評価をいただく理由です。
2液ウレタン材を型の中に注入し発砲させることで、継ぎ目のない無垢のスポンジが完成します。
従来の製法の場合、スポンジ同士やスポンジとシートベースを接着剤で張り合わせなくてはならず、長期間使用すると接着面が剥がれ、スポンジのみが収縮するなど、型崩れの原因となっていました。
そこで弊社では、シートベースとスポンジが一体成型になる製造方法を、独自に開発し採用しています。
一体となったシートベースとスポンジには境い目がなく、接着剤を使用しないため長期間の使用にも耐えうることが出来ます。
美しいスタイルのまま長くご使用いただけるのです。
レザーを張った際、シートベースとスポンジの境い目に段差が無く美しい仕上がりになります。
完成品のシートと同じものを、FRPやウレタンなどさまざまな材料で製作します。 跨っただけのチェックでは分からないこともありますから、この原型を車輌に装着して実際に走行テストを行います。 そこで問題が見つかれば原型を修正し、ときには数ヶ月も掛け原型を製作していきます。 そして、原型からスポンジを流し込む型やシートベースの型を製作し、その後、数種類の硬さ違いの試作シートが作られ、365日季節を問わず最終チェックの走行テストを行います。 一般道から高速道路、ストレートからコーナーまで、あらゆる条件下で良い動きをしてくれるかを試します。 長距離の走行テストは製品化する前には必ず行う作業です。 そのテストは、1日で1000kmに及ぶこともあり、年間、テスト走行だけで20.000km以上もの距離を走ります。 普段よりオートバイに乗るスタッフ達が、走らせながらシートを作っているので『楽しい』と感じるシートに仕上がるのです。 更に、ダブルシートの場合、二人乗りでの長距離テストも行います。 K&Hのシートがオーナーだけでなく、タンデムライダーから評判がいい秘密は、この徹底した走行テストにあるのです。
1日に500キロに及ぶ実走テストが季節を問わず行われます。
数値上のデータだけではなく、人の感覚も大切にしています。
シートに使用するレザーは、「スポンジの動きを妨げないこと」、「色が褪せないこと」や「水に強いこと」を前提にレザーをセレクトしています。 そして、実際に車輌に装着しての走行テストを繰り返し選び抜かれています。 ただ、素材が良くても縫製が悪ければ意味を成しません。 K&Hでは縫い糸の太さから縫いのピッチ一つにまでこだわっています。 初めてお客様が手にしたときから良質な質感を感じていただけるように、熟練スタッフが丁寧に縫い上げています。 縫製後は、屋外で使用されることを考え防水処理を施します。 そして、実用性だけではなく、K&Hでは世界で一つのオリジナルシートをオーダーすることが可能です。 数種類のレザーカラーの中から好みのも組み合わせることにより、車輌のイメージに合わせたオリジナルのシートをオーダーすることが出来るのです。 更には、ステッチカラー(縫い糸の色)、パイピングカラー、(レザーの間に丸められたレザーを装飾で挟み込んだもの)スタッド(鋲)やリベットを組み合わせることも可能です。 K&Hのシートのクオリティをそのままに、イメージにぴったりのオリジナルシートをオーダーすることが出来るのです。
熟練のスタッフによる縫製をご覧いただければ、その高い質感がお分かりいただけるでしょう。
標準のスポンジの硬さには想定される体重幅があります。 その幅から外れる場合、最適な硬さに合わせることが可能です。 体型や車種によるフットポジション、シートにどのくらいの荷重が掛かるのか等さまざまなデーターから硬さを調整します。 ただ、私たちの作るシートはスポンジを少し「硬め」に設定しています。 乗り心地を良くし、お尻が痛くなり難い柔らかさと、お尻をしっかりと支え、路面からの 情報をライダーに伝えるための適度な硬さ、この2つを両立させるためです。 そのため、購入直後は「ちょっと硬すぎるのでは?」と感じるかもしれません。 しかし、K&Hのシートには「慣らし」が必要なのです。 さまざまな条件下で姿勢変化を繰り返すことで、スポンジが体に馴染んでいくのです。 3,000kmほどの慣らしを経て、初めてオーナーに最適なシートが完成します。
インジェクションスポンジは、指で押しただけでもきれいに沈み込むのが分かります。
3,000kmの慣らしを経て最適なシートに変身します。
K&Hのシートは完成後、スタッフによってさまざまな角度から検査されます。「スポンジの硬さは?」、「レザーにシワや汚れはないか?」、お客様のもとへ発送する前に徹底してチェックを行い、最後に確認したスタッフのチェック印が押されます。そして、シートを後ろから見たときにK&H製だということが誰の目にも分かるよう、『K&H』と刻印されたネームプレートが全てのシートに飾られています。 K&Hのネームプレートに恥ない様、自信を持ってお客様のもとへお届けしています。
お客様のもとへお届けする前に、複数のスタッフにより入念なチェックが行われます。